みなさん、こんにちは!
抹茶のりです!
みなさんのご自宅はどのような壁でしょうか?
現在ではクロス張りの住宅が多いと思われますが、
我が家では昔ながらの「砂壁」であります。
砂壁というと、古臭く、薄暗い、砂がぼろぼろ落ちる、
といったマイナスイメージを持たれるかと思います。
僕自身も現在の家に約30年住んでいますが
やはり室内はどこか薄暗く感じてしまいます。
母も塗り替えたら明るくなるのに、とぼやくこともあります。
唐突にこの「砂壁」のことを記事に書いているのかと
言いますと、現在読み進めている
谷崎潤一郎著「陰翳礼讃」にこのような文章があります。
(谷崎潤一郎 陰翳礼讃 中公文庫より)
本来、砂壁は以下のようなメリットがあります
- 調湿効果があり、室内で快適に過ごせる
- ハウスダストや化学物質などを吸収する
- 砂による防火効果で、延焼を防止する
ですが、谷崎潤一郎はこれらの機能性だけでなく
日本家屋としての美しさに注目していました。
それが良く分かる説明が以下のように続きます。
「われわれは何処までも、見るからにおぼつかなげな外光が、
黄昏色の壁の面に取り着いて辛くも餘命(余命)を保っている、
あの繊細な明るさを楽しむ。
われわれに取ってはこの壁の上の明るさ或はほのぐらさが
何物の装飾にも優るのであり、しみじみと見飽きがしないのである」
(谷崎潤一郎 陰翳礼讃 中公文庫より)
深いです…。
ここまで考えたことがありませんでした!
現代建築で用いられるクロス張りの壁は
確かに光を良く反射し、僅かな光でも室内を明るくします。
ですが、あまりにも明かり過ぎると日本古来の風情を損なう
という一面を持っています。
私たちが古くから存在する寺社仏閣などの建築物を訪れると
薄暗いながらも不快感を感じることはありません。
必要最低限で且つ色調が抑えられた調度品、
敷き詰められた畳の柔らかい色調、
そして、砂壁の調光によって
私たちが心を落ち着かせ、美意識を促す
”侘び寂び(わびさび)”の空間を生み出します。
そのような日本の伝統美が詰まった砂壁や畳に囲まれ
何も感じることなく、約30年過ごしていたと考えると
日本人として恥ずかしくなります(>_<)
古典に親しみ、語彙力を鍛えるために読み始めた
「陰翳礼讃」には、私たちが遠のき、忘れてしまいがちな
日本古来の伝統や良さを再発見させてくれます。
まだまだ序盤ですが、読み進めていき、
日本文化の真髄に近づけるよう、努力します!
長くなりましたが
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!
抹茶のり